会社の経費でフェラーリ買える?

2020.12.16

今から約15年前に「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか」小堺桂悦郎著が70万部のベストセラーになりました。専門的な会計の知識をわかりやすく解説する内容は、当時の私には画期的でした。ようは単年度償却の裏技指南なのですが、あの頃は本当に良き時代でした。

 

会社の経費でフェラーリが買えるか?

社長が高級スーパーカーを買って損金計上できるのかというのは、限りなく黒に近いグレーです。何年か前に「社長車のクーペ(2ドア)は否認される」という噂がありました。本当にそうなのか、実際に税務職員に訊ねてみたところ「そんなことはありません。税法上そのような取り決めの文言はない」とのことでした。ただし、「社会通念上相当であれば」ということです。

ある有名な全国チェーンのラーメン屋の経営者は福利厚生という理由で1億円以上するポルシェを経費で購入しました。社会通念から外れていても、それ以上に納税し、社員からも尊敬されているカリスマ経営者なのでしょう。つまり、社会通念上相当である理由に加えて、社員に説明して全員が納得すれば大丈夫ということではないでしょうか。並大抵のことではありません。

 

社長車は2ドアが合理的

フェラーリは極端な例ですが、中小企業の社長の車は国産4ドア車が一般的です。

でも、それって合理的でしょうか。

お抱えの運転手がいて儲かってしょうがない会社の社長なら、移動の際に後部座席が必要です。でも、ほとんどの中小企業の社長は自分で車を運転しています。取引先のお客さんを後部座席に乗せて社長が運転することもあるのでしょうけど、ほぼないです。あったとしても年に何回あるでしょうか。

「家族を乗せるのに後部座席が必要だ」ダメです。プライベートで社用車を使ってはいけません。

4ドアのセダンよりも2ドアクーペの方が車重も軽く、後部座席の空気を運ぶ経済性の悪さを考えると2ドアの方が理にかなっているように思うのは私だけでしょうか。安全性についても、今時の車はドアの枚数に関わらず安全性能は高いです。

それでも気になるようなら、移動にはタクシーを使った方が、燃料代や減価償却費、保険代、もしもの交通事故などのリスクを考えたらタクシーは合理的です。

 

行為計算の否認?

そもそも、その企業が経済活動において、捻出した利益だから何を買ってもいいじゃないか。

そう思いませんか?

その企業が社員に遅延なく給料も賞与も払い、役員報酬も払って、特に金融機関に資金繰りを指摘されることもない。また、取引先には特段値切ることなく毎月しっかり払っている。納税という地域貢献もしている。

そこで、そこそこ溜まった内部留保を社用車にフェラーリ買ってもいいじゃん。

ダメですか?

そんなもんに使うくらいなら福利厚生や頑張った社員に還元しろ。その通りです。

ダメな理由は税法上からくる制限があるからダメなんです。税務署が同族会社の行為を認めるか否かという判断をします。これを行為計算の否認と言います。

 

同族会社という制限

同族っていうと、華麗なる一族に代表される大富豪のイメージや父ちゃん母ちゃん商店という親族で牛耳るイメージが強くてあまり印象が良くない思われるかもしれません。実は同族会社は税法上のみ定義されていて、意外とざっくりしています。

  • 上位3株主が総株式数の50%超える場合
  • 上位3株主が議決権総数の50%超える場合
  • 上位3株主の社員数が過半数を超える場合(持分会社の場合)

 

上記のいずれかに該当すれば同族会社です。そしてこれには2つの制限があります。

 

行為計算の否認

同族で支配する会社では租税回避のために高額の役員報酬や、通常では考えられないような高級別荘やヨットを保有する事態に備えて、法人税法上「同族会社の行為計算の否認規定」が置かれています。

これらの範囲が、一般的に言われる「税務署が否認するかどうか」の判断なのです。

 

留保金課税制度

同族会社は上場企業のように一般株主からの配当要求もないため、剰余金の処分が自由です。ですから、株主が単独、あるいはその配偶者や家族などのグループで過半数の議決権を保有している場合「特定同族会社」と限定され、内部留保した金額のうち一定額を超える場合は、留保金額に対し特別法人税が課せられます。

 

出張帰りに立ち飲み屋で軽くいっぱいやって領収書をもらうくらい可愛いこと。いやいやダメなんです。節税対策にフェラーリ買ったり、絵画買ったり、立ち飲み屋で領収書もらうのも基本的には同じこと。もうそんな時代じゃないですね。税法上というよりも社会通念上相当な理由を考えれば、モラル。モラルの問題なんですね。