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人柄 > 公約

2021.08.02

後継者

先日、県知事選挙があった。

毎回、投票する候補者に迷い、選挙公報などを見ても悩む。選挙前のまちなか演説はどれもこれも人気優先の文言が並び刺さらない。最寄りの駅には突然咲いた秋の草花のように挨拶を仕掛ける候補者を散見する。

ある時、駅前で選挙PRに余念のない候補者の演説を聞いてみた。一通り演説が終わって、候補者のスタッフからパンフレットを受け取り、遠回しに彼の行動を見いていた時のことだ。スタッフが通り過ぎる群衆にパンフレットを手渡す。中には支持する政党ではないのだろう、ちらりと一瞥してスタッフに投げ返す輩がいた。悲しそうにするスタッフにそっと近寄って「大丈夫?」と肩を軽く叩き笑顔で慰めていた。選挙演説のさなかにおいて、スタッフに気遣う何気ない振る舞いにその人の優しさを感じた。

以前の私であれば、公約に掲げる政策や行動力と経歴で安定を重視していたけれど、コロナ禍を経験して考え方が大きく変わった。政治家を選ぶ基準は人柄だ。これは弱者のつらさを己のこととして捉えられる「共感力」と言い換えることもできる。

短い選挙期間中にそれぞれの候補者を理解するのは困難だ。ただ、プロフィールなどから挫折や逆境の経験の有無、人柄を想像するなどしたうえで、ちょっとした立ち居振る舞いからでも「その人」が伝わって、感じることができる。

どれほど崇高な理想に燃えた人でも政治の世界に身を投じてしばらくすると、旧い体制に忖度することが政治生命を維持するコツだと習い一般社会と意識が乖離する。

コロナ対策が後手後手になる政府において、最近ある大臣の発言が波紋を呼んだ。共感力の備わった政治家であれば、行政の都合ではなく、社会の弱者を救うことにまず真摯に取り組むであろう。仮にそれが難しくても、寄り添う言葉があれば社会全体の理解を示すことはできる。心の底から他者をいたわる気持ちのない上辺だけの言葉は容易だが定着はしない。微細を感じ、人の共感を呼び起こす力はその人が生きてきた大小さまざまの苦節を経る中で培われ、それゆえ安易に周囲と同調しない力強さを生む。

西郷隆盛は「小さく叩けば小さく鳴る、大きく叩けば大きく鳴る」で知られた幕末の豪傑で、その人柄は共感力に長けていたと知られている。目的遂行のためなら何事もいとわないという胆力がありながら、私心なく常に相手の立場になり、時には許し、いかなる時も奢った態度は取らなかったという。魅力あるこの人間像に多くの人々は惹かれ、倒幕という一大事を成し遂げた反面、共感力が強すぎたゆえに非業の死を遂げることになってしまった。

今回、私が投じた候補者は落選した。しかし、自分が投じた1票に後悔はない。これからの政治に必要なものを自分なりの選択は示せたと思う。結果はどうあれ、すべては国民の選択の結果なのだと思えば、たかが1票、されど1票、確かな1票。

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