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ラクダの背中の藁

みなさんは、社員の眼をしっかり見てますか?

ちょっと陰りを感じる、とか最近、力が感じられないと思ったら、直接本人に話しかけるのではなく、上司や同僚などに「あいつ最近なんかあった?」って軽い感じで聞いてみてください。

ほとんどの場合は、「特に何もないですよ。どうしたんですか?」と杞憂に終わることがほとんどです。「社長は気にしぃやなぁ」と揶揄されることもあって気が引ける方も多いと思います。

これでいいんです。「実は、この前… 」というふうな話が出たら要注意です。その場では済まないくらいの「実は、、」がたくさん潜んでいます。

でも、「実は、、」を引き出すのは容易ではありません。信用できる同僚の一人や、一部の人間しか心を開かないのが普通です。このように杞憂で終わっても「気にかけてるぞジャブ」を打っておくことが、何かの時の大きな抑止力に繋がると思っています。

でも、あまり打ちすぎると「ウザい」になるので気をつけたいところです。

今度は本人のところに行って「ちょっと時間ある?」って感じで誘ってみてください。それが「最後の一本の藁」かもしれないから。

実は、前社で3人のうつの社員と接しています。その中で、忘れられない後悔があります。

 

うつになった長谷川くん

長谷川くんは私と同い年。彼は私が入社した頃から私のことが大嫌いで、敵対心むき出しでした。何か衝突のきっかけを作っては言い掛かりをしてくるので、正直面倒くさくて、付き合いたくないタイプでした。私はそんな彼を意識的に避けていました。

一度、彼と取っ組み合いの喧嘩になりそうになったことがあります。たしか、創立記念式典の二次会だったと記憶してます。お酒も回ってエンジン全開といったところに隣りに座ったのが長谷川くん。「しまった」と思うが先に彼の方から、昼間、造船所の正門で順番を守らなかった私に言い掛かりをつけてきました。胸ぐらを掴んでくる彼に応戦する形になって、周りから制止され、その場は収まりました。それ以来、犬猿の仲になって、お互いが避けるようになりました。

彼がおかしくなり始めたのは離婚が原因でした。生活が乱れ、毎晩浴びるように酒を飲み、遅刻や無断欠勤もみられるようになりました。そして、会社の壁に車を突っ込むという前代未聞の事故を起こして、自ら会社を去って行きました。

彼が会社を辞める時、呂律が回らない口調で「お、おへわり、な、なり、ましら」と挨拶にきました。あとで耳にした話によると、抗うつ薬の大量摂取と同時に飲酒が加わったことが体調をより悪くしたと聞いています。

その後のことは、数年経って共通の友人を通して訃報が届きました。

寄り添えなかった後悔

在りし日のことを思えば、威勢が良くて喧嘩っ早くて、滑舌もキレッキレで、元気だったあの頃。目に陰りが見えてきた彼の変化に気づいていながら、私は放置した。

彼のうつの原因は離婚です。プライベートには会社は介入すべきではありませんが、人財という観点から考えれば、会社の将来にも影響します。過去のしがらみや遺恨は水に流して、あくまでも主従関係において、ケアすべきところは真正面から向き合えばよかったと後悔します。

理解しようとしない人たち

その反省として、福利厚生に関する制度の見直しを行いました。行政が支援する「うつの予防と復帰のためのメンタルケア」も利用しましたが、行政主導のよくある既成事実を作って「取り組んでます」アピールをすることが目的のプログラムでは、また同じことが起こると危惧し、独自のプログラムと専門家を招いた定期的な社内研修会も行い、充実する内容に取り組んで行きました。

しかし、このような取り組みにも反対勢力はいます。つまり、「どんなに充実したメンタルケアに取り組んでも、しょせんは心の弱い人は同じ」「根性が足りない」「注意して鍛え直せばいい」など、このような思考の持ち主に理解を示すのは至難の業です。

悲しい末路の原因は会社にも一理あるということに真摯に向き合って反省し、同じ轍を踏まない努力が必要だと思うのですが、改革していくには予想以上の障壁がありました。

ラクダの背中の藁

ラクダの背中に一本ずつ藁を載せて行きます。だんだん重くなって行くけれど、でも、ラクダは頑張る。ところが、ある一本を載せた時に、もうラクダは「限界!」とばかりに、ガクガクと倒れてしまう。

たった一本の藁ですよ。でも、その一本を載せたら、崩れ倒れてしまう。

その「最後の一本の藁」に経営者は気づくことができるか。

朝礼や廊下ですれ違ったときに、社員の眼を意識して見てますか。目が合った瞬間サッと目を逸らすとか、焦点が合ってないとか、何か気づくことがあるはずです。

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