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後継者の3つの共通項とは

2020.07.25

後継者

後継者の心理や思考は多くの部分で共通しています。

その行動パターンから脱却できず、後継者の多くが失敗してしまうケースは少なくありません。

自分の経験も含め、他社の失敗例を参考にすると失敗の原因は大きく3つあります。

 

  • ギャップと焦り

 

  • 敵にする相手を誤まる

 

  • 本当の自分が見えなくなる

ギャップと焦り

後継者学校での驚愕の事実                                             私はかつて行政機関が運営する後継者学校に10ヶ月間在籍しておりました。
30人の血気盛んな若い次期経営者がここに集いました。

その中で忘れられない記憶があります。当時(1994年)の学校長が開講式の挨拶で冒頭に発した言葉です。

「10年後には、今ここに30社いらっしゃる皆さんのうち、残ってるのは半分あるかないかです」

私は、開講初日から「冗談のきついおっさんやな」と聞き流していました。
ところがどうでしょう。

10年後。
30社のうち倒産、廃業、それとM&A、MBOなど含めて親族内承継に失敗した企業は17社。
今のところ上手くいってる企業は半分以下の13社です。
恥ずかしながら私も17社の一人ですが、まさか校長の失敗する半分に自分が入るとは思いもしませんでした。
しかし、校長の話は現実のものとなったのです。

M&AやMBOはもう一つの事業承継ですのでそれが失敗とは思いません。ただ、なぜあの優秀で経営戦略に意欲的な彼の会社が?と思ったものです。
惜しくも後継者という舞台から降りた17社の敗軍の将は、大変優秀な学歴と資格を持っている人が何人かいました。国立有名大学の大学院を卒業してMBA(経営学修士)を取得した人や、在学中に中小企業診断士に合格した人までいました。
専門用語が飛交い、頭の回転が速く、饒舌な彼らに正直疲れたのを思い出します。

社員とのギャップ
誤解を恐れずにいうと、後継者と社員はそもそも生まれ育った環境や生活のレベルの差異があります。進学塾に通って有名大学を卒業後、留学する人も珍しくありません。躾が厳しいとは言え、平均以上の家に住んで、ご馳走を食べて、ハード面は満たされた生活をしています。そのせいか容姿から見ても、何か洗練された光を彼らから感じるものです。
そうでなくても、周りが無理やりそのような作り上げたイメージを社内に蔓延させている場合もあります。

後継者は勉強熱心が多いですから、ビジネス書もよく読みます。摂取したものを排泄する原理原則から考えると、習得した知識を披露する心理は十分理解できます。
しかし、披露する相手と内容を履き違える場合があるのも留意しておく必要があります。
営業会議などで素晴らしい戦略メソッドや白板に大きくマトリックスを描いても、社員はまったくついていきません。社員の気持ちに刺さらなければどんなに素晴らしい理論も戦略も意味がありません。
むしろ知識のひけらかしで、どんどん後継者と現場は離れていきます。

現場とのギャップは同時に後継者にとっては先代とのギャップです。つまり、現場と融合する先代と乖離する後継者のギャップに焦り出します。
こんなはずではない、なんでわかってくれないんだ。
これがギャップと焦りです。

敵にする相手を誤る

そのギャップを実績で補填しようと後継者は奔走します。
たとえその行動が正しくあっても、昨日までとは違うシステムの導入や就業規則の変更など急な体制の変更は社員にとってはストレスです。新しいことへの体験は大概の社員にとっては疎ましく感じるものです。
確かな理論と行動力で猪突猛進な後継者を横目に、番頭や後継者のことをよく思わない女性社員が先代社長に不安や不満を告白します。
社内の調和を尊重する一方で先代社長は自分の過去の実績を後継者から否定されたと感じ、このままでは自分の居場所がなくなると感じるのではないでしょうか。
そのような思いから、先代社長は後継者の思考や行動を全否定とし、そのことが経営方針の違いとされ大きな亀裂が入ることとなります。

本当の自分が見えなくなる

後継者だけでなく人は自分の思考や行動を否定されると自分軸をどこに求めていいかわからなくなります。なんのために働くのか、なぜ親の会社を継ぐのか、本当は何がしたいのか、と言ったような本当の自分が見えなくなってしまうのです。

物心ついた頃から帝王学という名の下に厳格な教育を受け、将来会社を継ぐのが当然と疑わずに育ってきた。その厳格な親から否定される辛さは後継者特有のもので経験無くして語れません。
そうして、後継者という舞台から去っていくか、メンタル崩壊するか、悲惨な末路を迎える結果もあるということはあまり語られることはありません。
当然です。
後継者の側に寄り添い理解を示してくれる人間はなかなかいません。

これらの3つが失敗の主な原因とされます。
テクニックやスキルで解決できる問題ではないということはお分かりいただけると思います。

まとめると

大学院や後継者学校で経営学を学ぶ

意気揚々と入社する

経営改革に奔走する

先代とのギャップを感じる

焦る

先代社長と対立する

否定され

メンタル崩壊

社員から見ればあなたは宇宙人

まずは、後継者は一度俯瞰して自分がどういう状況に立っていて周りからはどう見られているかを認識することです。肯定的な人はいないと思った方がいいでしょう。

さて、どうすればいいでしょう。誰も正解は言ってくれません。
先代社長である親が一番近い答えを知っているかもしれませんが、多くの場合、あまりに直截的過ぎて口論の火種を作る可能性があるので注意が必要です。

まずは自分で社員や役員の所作や表情で自分に対する感情を探っていくしかありません。外回りや現場から帰ってきて、後継者が部屋に入った瞬間の空気に違和感を感じたことはないでしょうか。ほとんどの場合、肯定的なものは少なく不利な立場に立たされていると覚悟したほうがいいかもしれません。

好かれようと擦り寄るのではなく、可愛らしげのある憎めないやつ。そこに利他の精神があれば理想的です。

後継者が学んできた経営学は披露したり教えたりするための手段ではありません。本質や知恵を知るための知識です。後継者は一旦は心の宝箱に封印してまず最初にしなければいけないことは、信頼関係を築くことが重要です。受け入れてもらえる門戸を開いてもらわないとどんなに素晴らしい理論や戦略も宝の持ち腐れです。クライアントやコアコンピタンスなどのヨコモジ用語は都会の営業マンにはカッコいいのですが社員との信頼関係には差し水になりますので気をつけましょう。

なぜあなたは会社を継ぐのですが?

信頼関係を築くのが重要と書きましたが、その前にもっと重要なこと。「なぜ自分はこの会社を継ぐのか」です。

継ぐことありきの環境で育ってきた後継者は、なぜ継ぐのかと問われた事がほとんどありません。この質問に多くの後継者は、えっ!と一瞬動揺し、ただなんとなくみたいな感じで煙に巻くのが定番です。

特にやってみたい事があるわけではない

継ぐことに疑いを持っていない

他社でやっていく勇気がないから継いだ

起業は不安だから継いだ

親に継げと言われたから

このような理由が自分の心の奥底に隠れていないか、一度自問自答してみると“WHY”が見えてきます。先代の創業当時の事を調べるのもWHYを導くヒントになります。

この“WHY”(信念)を訴求しておかないと壁に当たった時辛いですよ。なぜ継ぐのかという「自分探求の旅」と社員との「信頼関係の構築」は後継者が最初にやるべき必須事項です。

決して経営学の披露ではありません。

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