少数株主と2週間

2020.12.17

ある少数株主から1通の封筒が社長宛に届きました。中には聞き慣れない文言の「譲渡承認請求」とか開かれた通知が入っていました。さぁ大変です。ここで重要なのは期限です。2週間以内に回答しないと大変なことになります。

 

譲渡制限付株式とは

非上場の中小企業の株式は「譲渡制限付き株式である」と、定款に記載されている場合がほとんどです。上場株と違って自由に株の売買をすることができません。株式を譲渡する時には株主総会や取締役会の承認が必要とされます。これは会社にとって、望ましくないものが株主になることを防止するために会社法で認められています。

ただ、株主より譲渡承認請求を提出されると、会社が買い取るか指定買取人が資産価値に見合った額で買い取ることになります。できれば、会社としては買取とは別の方法で穏便に済ませたいのですが、そうはいきません。特に会社を離れた株主は冷徹です。金銭の授受が目的よりむしろ会社を懲らしめたい感情が強いからです。

 

株主より譲渡承認請求が出されるケース

  1. 会社の方針に合わず、社長とケンカして会社を辞める
  2. 相続により、法定相続人に株が分散された
  3. 取締役や後継者が解任されて、会社に反旗をひるがえす

 

上記の2の場合は、協議しだいでソフトランディングできそうですが、1と3については丸く収めるのが困難なようです。どちらも会社上位で、株主が会社から追い出された傾向が強いため、会社も株主も感情的になっています。この場合どんな素晴らしいスキームで戦っても埒が明かないのです。会社法では株主より譲渡承認請求を出されれば、法律の手順に従って粛々と株を買い戻すか、譲渡承認請求を取り下げる代わりに、株主の出す条件をのむしかありません。

残念なのは、このような自社株に関わるリスクヘッジが経営者もさることながら、後継者になされていない中小企業が多いということです。気の合わない役員を追放したのち勝ち誇ったように振舞う経営者の方を、以前お見かけしたことがありますが、株の買取は放置したままで「毎年配当してるから文句ないだろう」とか危機感ゼロなのが、呆れるを通り越して怖いです。

まずは、こうなる前に株主リストを精査してみましょう。少数株主が誰で何株保有しており、株の買い戻しを承認してくれそうな難易度など役員間で話し合いが必要です。また、これをきっかけに株主間契約の更新(無い場合は整備する)も必要かもしれません。しかし、寝た子を起こすようなことにならないように注意が必要です。

 

2週間という期限

それでも、譲渡承認請求が出された場合には、承認するか否かの決議事項を承認請求者である株主に通知しないといけません。もっとも気をつけたいのが、2週間という期日です。これは何かと言いますと、少数株主から譲渡承認請求を受けて2週間以内に承認するか否かの回答をしないと、「会社は譲渡を承認したとみなされ買受人が新しい株主と認められる」となってます。譲渡承認請求を受けてから、様々な法律上の手続きを経ることとなり対応が遅れて自動的に譲渡を承認したという結果になってしまう事をもっとも危惧しなければなりません。

経営者や後継者であれば、いくら少数とはいえ株主とケンカしてはいけません。絶対に。