後継者の妻たち

2020.07.31

ここ最近、事業承継ブームの影響のせいか、後継者に向けた書籍が多く出版されてます。

その一方で、後継者の配偶者向けの書籍は残念ながら手に取ったことがありません。

というか、その着眼点がなかったので気が付かなかっただけなのかもしれません。

同族経営で多くの悩みを持つ後継者のそばで違う角度の悩みをお持ちの後継者の妻について考えてみたいと思います。

後継者の妻のお悩みTOP3

  • 旦那の親族との付き合い
  • 旦那のストレス
  • 我が子を後継者にするジレンマ

 

 

旦那の親族との付き合い

後継者の多くは長男です。

親、兄弟の付き合いは姉として振る舞わないといけません。

関わる全ての人たちとうまく行っていれば問題はありませんが、

弟の配偶者と性格的に合わないとか一つや二つは何か問題があるのが普通ではないでしょうか。

特に旦那にお姉さんがいる場合の対応は難しいでしょう。

長男の妻という立場、社長の妻、子供の次世代教育など、

普通の家庭に嫁いだのなら考えなくてもいい事をいちいち考えなければなりません。

会社の将来性や家族関係を情報収集して結婚を決める方はほとんどいらっしゃらないでしょう。

明らかに会社の業績が悪く、借金の返済に追われている状況がわかっていれば躊躇もするでしょう。

しかし、それ以外の場合は結婚して新婚の余韻が残っているかいないかくらいの頃に気がつくもんです。

こんなはずじゃなかった。。

 

旦那のストレス

同族経営の場合、

後継者が職場で親と喧嘩することはよくあります。

後継者が会社から帰ってきて晩酌しながら会社や親の愚痴を言いたくなる気持ちはよくわかります。

仕事は家庭に持ち込まないと豪語していても、

賢明な妻は後継者が会社で親とうまく行ってないことはお見通しです。

そんな後継者のストレスがじわりじわりと妻に伝染しているのを後継者のみなさんはお気付きだろうか。

傷口に触れると弾けて壊れそうなので、

黙って妻は耐えるか、

聞き役に徹するかですが、

毎晩同じようなことを聞かされれば、いい加減にしてくれと叫びたくもなるでしょう。

ストレスの吐け口を間違っても妻にしてはいけません。

そこを知らずにいると会社存亡の危機に晒されるのです。

 

 

 

我が子を後継者にするジレンマ

毎晩のように後継者から愚痴を聞かされ、

親族間の揉め事にも巻き込まれ、

嫌というほど会社を継ぐことの辛さや人間関係も含めて様々な軋轢を目にして、

妻はこう考えます。

「こんな苦労を愛する我が子にはさせたくない。」

「なにより子供の人生自分の好きなことをさせてあげたい。」

後継者は現在の立場や仕事の事で頭がいっぱいです。次世代の教育まで気持ちがついていきません。

しかし、後継者が結婚して子供が誕生してからがもうすでに次世代教育は始まっているのです。

子供が将来したいことを尊重する一方で、

後継者として次は自分の代になるという無意識の刷り込みは必要だと感じてます。

多くの後継者に「なぜ会社を継いだのか」を問うと、

ごく稀に「子供の頃から会社を継げと教育された」と言う後継者もいますが、

圧倒的に多くのが「なんとなく継ぐことが使命的な。。」との回答が多いのです。

これは紛れもなく幼少期の頃からの刷り込みでしょう。

私も物心付いてから祖父が営む会社の工場に遊びに行って、横で親父が商談している姿を目にしました。

だから、私の場合も継ぐことが使命と刷り込まれてきたのだと思います。

後継者が子供を会社の行事に連れて行ったり、子供に夢を語ったりすることが後継者教育の要となります。

 

会社の愚痴や不満を漏らしたり、苦労ばかりしている姿を見せたりしていると、

子供より妻が別の道を選択させるように教育したり、事業承継に反対しだします。

実はこういった事実が後継者不足の裏側にあったりするのです。

 

気をつけましょう。

子供が誕生したその日から次世代教育は始まっています。

子供の将来を妻とじっくり語る時間をとっておきたいもんです。

 

夢を見させて

私がまだ学生の頃、お付き合いしていた彼女がいました。

とある居酒屋で飲んでた時に自分の生立ちや将来は地元に帰ってアトツギになるかもしれないというような話をしていた時、

その彼女が酔った勢いもあって「やった〜、ワタシ社長夫人〜、将来ベンツ〜」とはしゃぎ出したのです。

私は「そんなに甘いもんじゃない!」とその場で叱りつけ、言い過ぎた!と思った時は時すでに遅し。

彼女は目に溢れんばかりの涙を溜めて睨みつけられました。

 

わかっているけど、夢くらいみさせてほしいと後から聞かされました。

 

彼女のお父さんは小さな建築会社を営んでいました。

なんでも安請け合いするお人好しのお父さんは資金繰りに窮して倒産させてしまいます。

その時、家族がおかれた惨状や父を支える母親の苦労を嫌というほど見てきたのです。

一度くらいは社長家庭の裕福なイメージに浸りたかったという話を聞いて複雑な気持ちになった事を思い出します。

 

たまには贅沢して余裕を持って妻を労わってあげましょう。

会社を継いで社長になると辛いこともたくさんあるけど、

やりがいもあって余裕のある生活ができるといういい面と悪い面のバランスを意識することが重要です。

 

そしてなにより重要なのは、

妻への感謝です。