後継社長のコミュニケーション術

2020.06.19

後継社長の想いが伝わらない





社員とのコミュニケーションがうまくいってない。
もともと営業畑なんで現場に入り込めずにいる。
先代社長の影響が強すぎて、後継社長の方針を理解してくれない。



先代から社長交代したばかりで張り切っていた頃、社員から一言。


「社長が言ってる事、意味不明なんですよね」

「・・・」


そんな経験ないですか?


朝礼で想いや理念を熱く語っても残念ながらほとんどの社員は。


聞いてません。


社長頑張ってるな、というのは伝わっているかもしれませんが、
そこから先の本当に伝えたい想いが伝わらないんです。

なぜなら、

興味ないからです。



自分の思いや会社の方向性を社員に知ってもらうにはどうしたらいいのか。
自分の想いを共感してもらいたい。
それぞれの感想が聞きたい。



それなら、社長室に一人一人呼んでヒアリングすればいい。

これもありかもしれませんね。

でも、無機質な社長室で社長や役員を面前に、本音で語ってくれるでしょうか。

事情徴収じゃあるまいし。


緊張と圧力で溝が深まるだけなんじゃないでしょうか。
そんな悩みを払拭する最適な方法を紹介します。


社員とサシランチをする。
社長と社員2人でランチする。
もちろん社長がごちそうする。
たったそれだけ。



目的は昼食でお腹を満たすことではありません。


興味を持ってもらう、です。

社員にとっては、昼休みは貴重な時間。
社長と過ごすなんてごめんだと思ってるんじゃないの?
そんな事ありません。
奢ってもらえるという魅力は貴重な昼休みには勝てないようです。

あと、社員からすれば社長は社長ですよ。
そんな人が自分のためにわざわざ時間とって、
ごちそうしてくれるという提案は少なからず特別を感じてるのかな、と思います。

でも、正直言って、

初めて自分から社員に向けて提案した時は、
全員から拒否されるんじゃないかという不安はありました。
それで、私の場合はこのようにしてました。

あらかじめ朝礼などで社長とサシランチの提案をしておきます。
反応を見てすべきかやめるか決めようと思ってましたが、

予想に反して、反応は悪くはなかったです。
そして、社員を誕生月ごとに12区分する。
毎月1日の朝礼後にそれぞれ誕生月の社員に集まってもらい、一人づつ予定を決めます。
そして当日、社員のリクエストのお店に行って一緒にランチするだけ。

たったこれだけなんです。

コストパフォーマンスも良いです。
たかだか、ランチですよ。
社員の性格にもよりますが、弁当で十分という控えめな社員もいますし、
辞退!する社員もいます(笑)
ここぞとばかりに特上鰻重4,800円を注文する社員もいます。

いろんな社員います。

そんな奇特な社員は40人中、せいぜい1人か2人です。
費用で言えば最大で10,000円強の出費になりますが、
いいじゃないですか、2人でうまいうまいって食べてりゃ気持ちも通じ合います。

ちなみに社員が注文するランチの上位は、
トンカツ定食。
理由は奥さんが「揚げ物はあとかたづけが大変」なので最近食べていない、です。

なるほど、なんか微笑ましい。

平均すると、だいたい単価800円から1000円です。
それを社員と私で2食分なんで1600円から2000円です。
従業員40人で計算しても、単価1000円X40人X2=80,000円

年間80,000円の出費。

80,000円で全社員と一人一人話せる機会って高いですか?
お金使わなくても、他にも方法はいくらでもあるでしょう。

現場にマメに顔だして話をするのもやり方としては王道です。
でも、社員と社長の特別な1時間は私には貴重な時間でした。


社長とサシランチのルール


①時間は昼休憩の1時間です。

 多少の誤差は目をつぶりますが、基本的に就業規則は遵守します。


②この時間内に何を注文しても社長がごちそうする。

 場所や注文内容は社員のリクエストに応えます。
 (ちなみに最高は特上うな重4800円。 最低は幕内弁当550円。)

 もちろんですが、就業時間内ですのでアルコールはNGです。


③社員が注文したものと同じものを食べる。

 ミラーリング効果といって相手の意思に同調する事で認めてるという
 心理テクニックも使ってます。⇦ここ重要。


④役員と親族は除外する。

 公私混同を避ける意味を強調することであえてここは除外します。
 役員は主に夜の席を設けることが多いです。


⑤夜のサシ飲みへの代替はなし。

 社員とのサシ飲みはNGというルールを私的に作ってます。
 お酒の席ですから、トラブルに発展する可能性があります。



ルールはこれら5つです。

効果絶大です。
社員とのコミュニケーション不足に悩まれてる社長にはオススメです。




社長とサシランチの注意点




①仕事の話ばかりしない。

プライベート8、仕事2くらいがちょうどいいです。
繰り返しますが、目的は興味を持ってもらうこと。
社長自身が社員に興味を示すことが重要と考えます。

ですから、自分の話は控えめに相手中心です。
ですが、社員のプライベートを根掘り葉掘り聞かないのはご承知の通りです。

特に女性社員の場合はセクハラになりかねません。
あくまでも社員のペースに委ねます。

社長にとって、新人のプライベートを聞く機会はなかなかありません。
そんな会話の中から、新人の知らざれる家庭環境を聞くこともありました。

繁忙期でどの部署も忙しく残業を余儀なくされていましたが、ある新人の1人はいつも
定時でさっさと帰宅します。
実は彼には不遇な家庭環境があって小学生の妹の朝晩の食事の用意をしていたのです。
これに情がほだされる訳ではないのですが、このような話は日常の仕事のうえでは話題には上がりません。

個々の家庭環境を考慮して働きやすい環境を作っていくのも社長の仕事です。


このように社員の不満や悩みも食事しながらだと自然に出やすいと感じてます。

あえて仕事の話は少なめにすることを心がけてきました。
この仕事2の中に一対一で食事しながらだから聞ける重要な話が盛りだくさんあって、

社内の改善につながるアイデアもありました。
社員目線だと何気ない普通の風景でも、経営者目線だとリスクとなる場合も多く、
リスクヘッジができたこともありました。


若手の社員にとっては「社長と2人」という設定には緊張は隠せないようです。
前日から緊張して、何を話そうか、どこに行って何を注文しようか紙に書いてる社員もいるくらいで、
しどろもどろに先日暗記した定型文を話だして内容がまとまらずに、

心の奥底にしまってある悩みを「実はですね!」と話してくれるケースもありました。


もちろんそのような流れになるよう私も細心の注意と努力は怠りませんよ。

全力で安心、安全、ポジティブな場を作ります。
そして、サシランチも終了迫るころ。
自分のビジョンや想いを語って、


「どう思う?」



で終了。


②絶対に領収書を取ってはいけない。

経費でするくらいなら、やらないほうがマシです。
社長のポケットマネーだからプライベート感が出るんです。
大切に扱われてるって感じが生まれるんです。

楽しいランチが終わって、レジ前で領収書もらってる社長の後ろ姿。



社員は絶望するでしょうね。

領収書とった時点で、それ仕事ですよ。


③長期出張者や出向社員を忘れてはいけません。


予定が合えば出張先に社長が出向いてランチするのも効果的です。
なかなか、予定が合わない場合は3000円のビール券を手紙を添えて送ってました。


④パートやアルバイトの方も忘れてはいけません。

ほとんどの場合、遠慮されます。
私のようなパートがとんでもないと、卑下されます。
でも、お誘いして不満はないはずです。

正規、非正規の差別をしないアピールも効果的です。


⑤他の社員が話した内容には触れない。

サシランチの後は社員同士で必ずどこで何を注文してどんな話をしたかが話題になります。
今、目の前の社員に話してる内容は数十分後には社内でシェアされているという意識を持ってください。



まとめ



✔︎社長とサシランチで特別な時間を作ってあげる。

✔︎社員に興味を持つことで社長自身を知ってもらう。

✔︎そして社長の想いを語り問うてみる。


私の場合は社員40人の中小企業でした。
その感覚だと社員50人が限界なのかな、と。
50人だと、ほぼ毎週になってしまいます。
いくらランチとは言え、仕事との調整が難しいでしょう。
社員数が50人以上の場合は新人限定とか区切りをつけて行うのもいいかもしれません。
また、社内で誕生月の社員でランチ誕生会がいいかもしれません。

後継者の方へのアドバイスとしては、
社長になってからの方がいいです。
後継者でまだ専務くらいなら抵抗される可能性高いですし、

偉そうに、と逆効果かもしれません。