想いを伝える

2020.12.11

メールを書くという作業は、相手に用件をわかりやすく伝えるいい練習になると思います。

社員や、クライアントさん、良好な関係を築きたい人とのやり取りで、相手にわかりやすく用件を伝えるためのメールの文章というのは、書くのにけっこう時間がかかります。

大切な内容で文字でしっかり伝えたいメールは、2時間くらいかかることもあります。「相手に間違って伝わらないか」とか「この文言は外した方が伝わりやすい」とか「これで大丈夫かな」と心配しながら文章の内容を暗記できるくらい読み返して、ほとほとイヤになることもありますが、結局そのことで、自分の考えが整理され、はっきりしてきます。

私が特に気をつけているのは、具体的な提案を伝えることはもちろんなんですが、なぜ自分がそう考えるに至ったか、自分の考え方のバックグラウンドを提示することです。

例えば、このプロジェクトに自分はこういう気持ちで参加していて、こういうものが共有されるべき価値観だと理解しているが、それでいいだろうか。仮にそうだとしたら、こういう提案をしようと思っている。もし方向性が間違っていたら擦り合わせをしたい、というふうに。

この自分の考え方は、幼少の頃からそうでした。私は他人とは少し変わっていて、自分の考えが伝わらないことがよくありました。「どうしたら伝わるのか」「自分はこう思うと主張しよう」といつも考えていたのでクセのようなものです。

新入社員研修の時にグループディスカッションで、今期の新入社員が会社に対する想いを社長に発表するのですが、「社会に貢献する」とか、「明るい未来に向けて」とか、みんな同じことを言っている。私は「我ら会社の公器!」と発表した。みんな「なんだそれ?」って顔をしていましたが、私は、なぜこの文言にこだわったのかを全員の前でプレゼンしました。

まず、毎年の儀式のように新入社員の想いを社長に届けるには、「内容よりもインパクトだ」と思ったんですね。新入社員のひよっ子の言葉なんか、百戦錬磨の社長の心に響くわけがないと思ったのです。当時、松下幸之助氏やドラッカーも言っていた「会社は社会の公器」をもじって「ユニークさを強調したかった」ことが一つ。また、当時は日本全体に勢いがあって、寝食忘れて会社に身を捧げることが美徳とされた時代。だから「私たち新入社員は会社と一体だ」という元気と若さを出したと説明したら、みんな納得してくれ、社長からも面白い新人だと評価され、会社で一番勢いのある部署に配属されました。

人に説明するためには、この「なぜか」の部分を言えなくてはいけません。そうすると、どんどん自分のことを掘り下げて考えていくようになります。

自分を掘り下げれば、自分が「何を大事にしているか」ということに、最終的にはたどり着きます。