レクサス乗っても会社の価値は上がらない

2020.12.03

前社に代表として就任中だった頃、私自身が猛烈に後悔したことがあります。それは、身分不相応な車に乗っていたことです。本当にどうかしてました。言い訳になりますが、利益が出れば、高級車に乗っても一括償却資産にすれば構わないという、変な思い込みがありました。周りからどう見られるかとか、その費用がどんな効果を産むか、というような視点が欠如してました。

もちろん今は、そんな無駄な時間やお金を浪費する事はありません。会社を追放されるという、あの日の強烈な体験から「倹約」という言葉が身に染み付いています。しかし、倹約というと、オフィスの電気をまめに消したり、無駄な会費を削ったりといった、細かく経費を節約するイメージを持つ方も多いと思いますが、私のイメージは少し違います。「倹約」の「倹」には慎ましくという意味があります。また、「約」には、取り決めるという意味もあります。つまり、私の「倹約」とは慎ましくお金の価値を精査して、使い方を取り決めるということになります。

 

有意義な費用とは

そんな勘違いの連続の私でしたが、有意義だった思い出も無くはないです。それは、創立70周年記念事業で行った社員旅行です。イマドキ、社員旅行なんて時代錯誤だと思われる方もいらっしゃるでしょう。確かに社員総勢40人ですから、そこそこ費用もかかりました。ただ、空間を移動するだけの旅行には何の意味も興味もありません。移動中は研修。現地では全員で遊ぶ、食べる。私は社員一人一人に「非日常を全員で体験する」を提供したかったのです。

 

洋上研修

木曜日の深夜に舞鶴のフェリー乗り場に集合します。日にちが変わったくらいに「フェリーあかしあ」は舞鶴港を出発し、その日は全員就寝します。深夜というありえない時間に社員全員が洋上にいるというシチュエーションが重要なんです。翌日(金曜日)、7時に起床して朝食を摂ったら、8時から研修を行います。洋上研修です。ゲーム形式を取り入れて、グループディスカッションを行います。最後にプレゼンテーションを行い、最も優秀なグループには私のポケットから細やかですが賞金を出します。やはりアメの効果は絶大です。モチベーションをあげて、全体を盛り上げるには必須だと思っています。そして研修メニューが全て終了したら、洋上でパーティーをして、21時前くらいに小樽に到着します。次の日は土曜日。社員全員で観光します。最終日の日曜日は飛行機で大阪まで戻ってきます。

深夜に集合。往きは洋上、復りは空中。全員が一体となる非日常の体験をしてもらいたかった。社員みんなの割れんばかりの声と笑顔は一人一人の心の資産になってるでしょうし、目に見えないけど協調性や社員の知らざれる面に触れることによって、愛社精神を育むことができたと確信できます。

 

効果やいかに

研修後には今までには無かったことが起こりました。自発的に品質向上委員会が立ち上がったり、北海道で体験したリフティング同好会ができたり、社内の空気は確実に変わり、定着率にも表れてきました。同時に私自身も学びの場となりました。どうすれば社員がやる気になって愛社精神を育むことができるのかを仮説を立てて検証することで自信につながりました。

 

記憶に投資する

この大変なご時世になにを悠長に、と思われるかもしれません。確かに余裕がないと辛いでしょう。ただ、優秀な社員を繋いでおくことやリクルートするなど、人材への投資は意外とお金がかかります。3年かけて教育して、離れられるコストは大変な額です。ですから、こんな時代だからこそ「やるべき投資」が必要だと思うのです。

でも、お金をかけても演出がないと効果は表れないとわかりました。重要なのは社員一人ひとりの「記憶」なのかと思います。この「記憶」を心に刻むのには「非日常」で異空間を体感して、「共感」心揺さぶられる感動と「胃」美味しいものを食べる!これかなぁと。また行きたい、また食べたいなど「記憶」が引き出しになってくれて、また頑張ろうに繋がるのです。

私がレクサスに乗っても、会社の価値は上がりませんが、社員の「記憶」に投資をすれば会社の価値は昇華できるのだと実証できました。